多くの研修やスクールでは、まず初めに
「圧をしっかり入れなさい」
というふうに教えられると思います。
「圧を入れる」とは少し抽象的ですが
腰がつらくてマッサージを受けた時
撫でられるように触れられるより
つらい部位に、手や指を当てられしっかり押される方が
“やってもらってる感”がありますよね?
なので
「圧を入れる」=「やってもらってる感の演出」
と僕はとらえています。
そして
「(圧をしっかり入れる為に)押す方向にむかって適切に体重をかけましょう。」
と教えられます。
適切に体重をかけるには、触れている手、
そこから手首の角度、肘、肩、腰、脚
そして床についている足など、施術者が正しい姿勢であれば
しっかりと自分の体重を乗せられることができます。
そこに筋力が加われば、体重以上にパワーが伝わり
より「やってもらってる感の演出」ができる!
とかつての僕は思っていました。
相手が体重計だったら、
なかなかいい評価をもらえてたんじゃないでしょうか(笑)
しかし受け手は人間です。
どんなに必死に一生懸命
冷や汗流しながら力いっぱい体重をかけて押しても
「もっと強くして!」
と言われることがあった時
当時の勤務店で圧倒的な指名数の先輩から
「強く押すのと、効かすのは違うで」
と言われました。
その人からは本当にいろいろ教えてもらったのですが
この一言が特に印象的でした。
■効かす為に重要なのは、適切なポイントを適切な角度でとらえる事です。
片手の親指と人差し指の水かきの際の部分を
もう片手の親指と人差し指で力いっぱいつまんでみて下さい。
全然痛くないですよね?
今度は、更に奥の付け根の間を軽くつまんでみて下さい。
ここは、合谷という有名な経穴(ツボ)なのですが、
先ほどより力は軽いのに痛いような感じがありませんか?
どんなに力があってもポイントがズレていれば効かないですし
適切に捉えれば効かせられるというのはこういう事です。
体中には、効かせるポイントが無数にありまして
これを便宜上ツボと呼ばれていますが
鍼灸などで刺激を与える経穴とは少し違います。
人それぞれ、身体の大きさや(骨・筋肉の)硬さは様々です。
感覚も大切ですが闇雲に触れるのではなく
このツボを捉えられるようになる
骨や筋肉などの解剖の知識が
僕たち施術家にとっての地図となるのです。